世界経済の変化
第三は、それは貿易というモノの移動にのみ限定した、部分均衡モデルだという点です。
比較生産費説は貿易というモノの移動にのみ着目し、しかもそれによって各国の国際収支が均衡すると仮定しています。
しかし、現実の国際収支はそのようには成り立ってはいません。
国際収支を規定する要因としては、資本収支カネの移動がきわめて大きくなってきていますし、さらに最近の日米関係にみられるように、たえず構造的な不均衡が発生しています。
そうした問題は、このモデルでは完全に射程外におかれているのです。
次に、モデルと現実の乖離という点については、さしあたり次の三点を指摘しておきましょう。
第一に、最近の世界貿易における輸出自主規制をはじめとする各種の管理貿易の蔓延という点です。
とくに70年代以降になると、世界経済の構造変化を反映して管理貿易の比重が急増し、各種の工業製品貿易は広くこれによって蔽われるにいたっています。